ヤケ☆チキがどういうものか分からない方はこちらをご覧ください。
前回の続きです。
ルルーシュを連れG1ベースとやらに到着してすぐ、私はようやく話の流れを思い出した。
(確かクロ・・・・えと、ルルーシュの兄をここで殺害するんだっけ?あー・・・まぁ、とりあえず、流れに身を任せるか…)
適当に捕まえた軍人から衣服をはぎ取り変装を。
刀を置いて行くのは色々心配だったため落ちていた布で包み、銃に見える様持ち方を変えた。
そしてルルーシュのギアスでさっくりG1ベースへ侵入した私たちは、昔画面越しに見た流れをルルーシュの斜め後ろからどっきどきしながら眺めつつ、いざというときの為と周囲の気配を探っていた。
「――全軍につぐ、ただちに停戦せよ。エリア11総督にして第三皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。全軍、ただちに停戦せよ。建造物等に対する破壊活動も止めよ。負傷者はブリタニア人、イレブンにかかわらず救助せよ。クロヴィス・ラ・ブリタニアの名のもとに命じる。ただちに停戦せよ。これ以上の戦闘は許可しない」
周辺一帯へ響き渡るほど、拡張された皇子の声。
台詞は一切指定していないけど、ルルーシュが最初に要求した『停戦』の要求はこれ以上ないほどしっかりしていた。
(へたに暴走しなければ、結構いい人なのかも)
なんて私が思っている間も、ルルーシュとクロヴィス(名前ようやく思い出した!)の会話は進んでいく。
「・・・・覚えていませんか、二人でチェスをやったこと。いつも僕の勝ちでしたけど・・・」
「何・・・?」
「ほら、アリエスの離宮で・・・・」
「貴様・・・・誰だ!」
「・・・・・お久しぶりです、兄さん・・・」
「っ!?」
ぬぉぉおおおおっ!
マジもんだーー!!
昔見たそのままだー!!
なんて内心めっちゃくちゃ興奮している私は、けれどほんの少し心の片隅で違うことを考えていた。
―――クロヴィスの驚きようは、少し喜びが混ざってはいないか?
名前を思い出してすぐ、芋づる式に思い出したのは、実はクロヴィスがルルーシュのことをずっと気にかけていたという事実。
アリエスの離宮によく似た庭園を造ったり、エリア11の総督になった理由がルルーシュ達を思っての行動だったり・・・・
(なんか、死んでほしくない、かも・・・?)
私の前では、変わらずルルーシュがクロヴィスへ銃を突きつけている。
あ、赤い鳥が飛んだ。
うん?
マリアンヌ后妃の殺害の件についてか・・・・うー、一応私最後までばっちり見てたから知ってるんだよなー・・・・。でもそれをここで話すには問題があるし、まず信じてもらえないような気もする・・・。うー・・・・・。
「ルルーシュ」
「っ、なんだユージン」
銃をクロヴィスの眉間に押し付け、引き金を引こうとした寸前。
私は私のわがままのため、彼を生かす方向で行動することにした。
「彼を殺すのは、少し待ってくれ」
「・・・・・・何かあるのか?」
「・・・・・・・・・少し、聞きたい事がある」
「・・・・・・・・・」
少しの沈黙と葛藤の後、ルルーシュなりに私のことを信じてくれたらしく僅かに横へずれてくれた。
それに視線で軽く礼をし、一歩前へ踏み出した私にビクリ、と反応したのはクロヴィス。
「・・・・な、なんだ聞きたい事とは・・・」
「・・・・不老不死、あなたはそれになりたいと、思った事はあるか?」
「は・・・・?」
「悠久の時をただ一人、共に歩く者もおらず、死ぬ事の出来ぬ身体が欲しいと、あなたは思った事があるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
とかなんとか難しい事聞いちゃったりしてー☆
実際はなんて答えが返ってこようがどうでもいいのだよ!今はただ、どうすれば彼を生かしたまま、けれどルルーシュの邪魔にならないような位置に引っ込ませるにはどうしたらいいかを考える時間がほしいだけ!
だから私は、適当な質問でのらりくらりと時間を稼げればいいのだよ!
「あなたはそれを解き明かし皇帝へ献上すべく、一人の少女を捕獲した」
「なぜっ・・・それを!!」
「時の権力者と呼ばれるほとんどの者は確かに不老不死を望むだろう。それが人の業というものだから・・・」
「ユージン、一体なにを・・・」
ぬぅぅぅうう、よっし!
どうにかまとまった!
私の適当な話にルルーシュまで困惑しちゃってるけど、今の流れだったらうまい事流れてくれる(はず)!
ちらり、と一度視線をルルーシュに向け、再度、今度はちょっと圧力をかける様に雰囲気を込めクロヴィスへ向き直る。
「けれど皇帝が抱く真の願いが、実はその真逆だとしたら、あなたはどうする?」
「「っ!?」」
「一人で生きる永遠の時ではなく、誰もが共にある無。あなたは全てが始まるとき、何を思うのだろうね・・・」
外に出ていた軍人が戻ってくる気配がする。
もう時間もないし、あとは行動するだけ。
「・・・・・失礼」
「ひっ・・・!!」
ちゃきり、と鞘から抜いた刀を構えれば、今まで茫然としていたクロヴィスの表情が凍った。
だけどそれを完全に無視し、私が持てる最大速度で刀を振るえば・・・
「・・・・・な・・・にを・・・・っ!!」
「殺しはしない」
「!?」
ほんの少しの間を置き、唐突に全身から血を噴き出すクロヴィス。
私はそれが自分にかかるより早く刀を鞘におさめ、ルルーシュを腕に抱え後方へと飛び退った。
「なっ!ユージン!」
「軍人が戻ってくる、今は逃げることが先決だ」
「・・・・っ!!」
言いたい事がたくさんありそうな顔をするルルーシュを抱えなおし、気配が少ないほうへ少ないほうへと道を走る。
・・・・・・・・・・・・・・・・後でうまい事ルルーシュに説明しなきゃな・・・・・・。
久々に!
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